仙道の行法
仙道は小周天を用いて、じっくりと体内に気を練っていく行法となる。
これを正しく行うことによって、エネルギーの強化とエネルギーのコントロール能力を得ることができる。また、それらによって、身体を強化したり調子を整えたりすることも可能だ。
気を感じる
小周天を行うには、まずは気を感じる必要がある。
気を感じるようになるための訓練は、以下のように行うと良い。
- 楽な姿勢で座る。
- 手のひらを熱を帯びるまでこすり合わせたあと、ゆっくりと離す。
- まずは1センチほど離した状態で、手のひらを向けあっているところに、気を感じるようにする。気というのは、熱感、風の吹くようなかんじ、振動するかんじ、痺れるようなかんじで感じ取れる。
- もし感じ取れない場合は、両手のひらを向き合わせた状態のまま、ゆっくりと間の空気をこねるように円を描く。それをやっていたら、だんだんと感じ取れるようになる。
- 気を感じられるようになったら、今度はもう少し手を離す。離れたところで、こねるように円を描き、感じる……というのを繰り返す。さらには手を近づけたり遠ざけたりすると、圧力のようなものも感じるようになる。
- さらに手のひら同士が遠くても感じるようになったら、ボールを持つかのように指を軽く曲げて、気のボールを両手で撫でる・ひねるかのように両手を回す。
- これでも感じるようになったら、今度は手のひらを向き合わせた状態で、軽く両腕を左右に開く。そして、右方向でも左方向でも、どちらでも良いので、やりやすい方向で気の感覚を腕伝いに回してみる。例えば、右方向なら、右手の平から気を移動させ、手首→前腕→肘→二の腕→肩→首のうしろを通って、反対側の肩→二の腕→肘→前腕→手首→左手の平……と、気を順番に感じながら、ぐるぐると回転させる。
- この回転がスムーズにできるようになったら、反対向きでも同じようにぐるぐると回せるようになるまで修練する。
- 両腕がスムーズになれば、次は足でそれを行う。足の裏を向き合わせて座り、手でやったのと同じように、足首→すね→膝→太もも→背中のほうを通って→反対の太もも→膝→すね→足首→と、気を感じながら通してゆく。
- これも、左右ともスムーズに回せるようになったら、小周天の準備は完了だ。
ポイント
これは1日でできる人もいれば、何日もかけて修練する必要がある人もいる。
ゆっくりと順番通りに毎日続けていけば、必ず先に進むはずなので、コツコツと続けて行くと良い。
小周天
- 楽な姿勢で座る。
- 肉体が男性性の人は丹田、女性性の人は胸部に気を集める。1)
- 気をしっかりと感じるようになったら、5分ほどそこで養成しつつ、気が熱を帯びるようにする。
- 下方向へ気を送る。丹田から始めた場合は肛門、胸部から始めた人は丹田の部分だ。このときも、しっかりと体の中で動く気を感じるようにすること。また、小周天では体の芯ではなくて表層(皮膚の下)を伝わせて気を送るようにする。
- そのあとも肛門のあと、尾てい骨→背中→背筋を上がって肩甲骨の間を抜け、首のうしろ→頭頂から2センチほど頭の中へ降ろした部分へと気を移動させていく。
- この際、丹田で10分ほど、背中で5分ほど、頭では10分ほど、それぞれ気を留めてそこで練る。
- また、頭まで気を上げた際には、練っているあいだに、気の質感を冷たいものに変化させる。
- 質感が冷たく変わったら、今度は気を降ろすプロセスに入る。眉間→鼻を伝って、舌先→喉へと気を降ろしていく。鼻を通り抜けるときはツーンと感じるはずだ。
- 喉も通したあとは胸部に降ろし、そこにまた5分ほど留める。
- 胸から始めた場合は胸、丹田から始めた場合は丹田と、ホームポジションに気を降ろしたら、終了する。
ポイント
- この一連の行法は腹式呼吸で行う必要がある。
- また、小周天を終えるときは、たとえ途中でも、頭に気を上げっぱなしにせず、必ずホームポジションの位置まで気を戻すこと。頭に気が上がりっぱなしになってしまうと体に悪いからだ。
- 気を感じない状態で回そうとすることも良くない。空転すると言われているため。
- 小周天は体調不良の人でも、横になった状態でやることができる。
1)
これは体のつくりで気の集めやすいスポットが異なると言われているからだ。