課題→宇宙意識に回帰するまでのプロセス
自己意識が「私という個がある」と誤認し、魂としての旅が始まってから終わるまで、一般的に、どういう進路をたどるのか?
この章の最後として、それを説明しようと思う。
1:魂の始まり
宇宙意識というのは、穏やかな幸せ・安らぎ・満ちた感覚で満たされている。ただそれだけを感受している(それそのもの)という状態だ。
何かが在るとか無いとかではなく、宇宙意識というのは幸福や愛や充足というエネルギーそれ自体であり、それ自体であるがゆえに存在のすべてがそれで満たされているという状態だ。
その意識というのは無限大の広がりがあり、奥行きがあり、限界がない。
単数か複数かというのもなく、ただ、どこまでも広がりどこまでも重なり、どこまでも混じり合って溶け合っている。そういうものだ。
それが、ふとしたときに、意識の集中に偏りができる。
偏ったところに光が見える。
その光はよく目立つので、意識がますます集中する。
すると光の中にギューッと引き寄せられて、入り込む。
そうなると、それとひとつになったと感じる。自己だと感じる。
そして様々なビジョンが辺りに見えだす。そのビジョンを自己を取り巻く他だと感じる。
こうして自己意識と主観世界の関係が始まる。
2:経験の始まり
自己があると感じている自己意識は、他と感じているビジョンに対して、様々なアプローチを行うことになる。
このアプローチによって、魂の記憶が起こり、最初の因子が生まれる。
それによって、次のビジョンが展開する。
この繰り返しが、だんだんと広がり深まっていく。
例えば、最初は「好奇心でつつく」というアプローチだったとしよう。するとそれが投影されて、好奇心を持つ相手からつつかれる。
それが可笑しくて、クスクスと笑ったとしよう。
すると、「好奇心を持つ相手をつついたら、おもしろがって笑われる」という投影が次には起こるだろう。
おもしろがって笑われたとき、今度はくすぐってみたくなって、くすぐったとする。
すると、さらに、「おもしろいからと笑ったらくすぐられる」という関わり方まで生まれる。
このように、1つ2つと関係が重なっていく。心を動かし合うかたちで蓄積していく。
これについて、自己になったのは自己意識だけなのだから、他の意識はないのではないか?と思うかもしれないけれど、意識というのは実際には、広さや大きさが限定されている性質ではなくて、個でもなくて複数でもない。どこまでも広がれるし小さくもなれる。
実際に、人間であっても複数の意識を持つ人もいたり、自分の外側に第三者の意識を自覚するケースもあるほどだ。
このように、自己意識は個だと理解しているといっても、実際には個ではないし、どこまでも広がれて分岐もする・逆に狭くもなれて単一化もするという性質を持っているのだ。
だから、自己意識だけの話とか、他の意識の有無という話は関係ない現象だ。
このように、最初はささいな点だったはずが、波紋のように広がり渡っていくというわけだ。
この影響の中でどんどん複雑化を重ねていくことになる。
すると、最初はエネルギーだけだったものが、イメージをまとうようになり、霊体をまとうようになり、やがて肉体もまとうようになる。
このような積み重ねの先に、肉体としての主観世界を体験する過程に至る。
3:輪廻転生の体験
幾度も行われる肉体としての主観世界。生まれた体験、死んだ体験。
これらの積み重ねが自己意識にとっては輪廻転生のように感じられる。
あるいは、天国へ行く・地獄へ行く・無の世界に入り込む。
そういった体験を繰り返していると感受できる。
この繰り返しの中で、それでも、自己意識というのは本質が存在しているため、偶然・たまたま丁度いい具合に内観の奥深くに届いて本質を思い出す体験をすることがある。
するとそれが違和感の始まりになる。
すっかり信じ込んでいたこの世界が、本当は別なのではないか? と無意識の奥に疑いを持ち始める。
やがて、その違和感が我慢できなくなり、それを確かめようとするプロセスが始まる。
4:世界の再確認
この世界に納得できなくなった魂は、スピリチュアルやオカルト等、世界を否定する価値観に惹かれるようになる。
でも、どれが正しくて誤りなのかを見抜くことはできない。
だから時に迷走をしたり間違えてしまったりする。
それでも、内観や世界を俯瞰するための方法に行き着けた魂は、世界を正しく知るための体験を重ねてゆくことになる。
その体験の中で、自らの本質へ還っていく方法を理解することになる。
ここから宇宙意識へ還りたい魂は、自らの主観世界を本格的に消そうとするようになるだろう。
5:主観世界を消滅させる
消滅というと破壊的に聞こえてしまうかもしれないけれども、ようするに、自己意識が主観世界を感受する状態をやめるということだ。
その状態をやめるには、主観世界として投影するための因子をすべて消す必要がある。
プラスの因子も、マイナスの因子も、両方ともだ。
そのためには、主観世界をつねに投影されただけのものとして、感情を動かさず、反応せず、ただあるがままの現象を見送り続ける。
次の現象が起こらなくなる終点まで、ただひたすら見送り続ける。
こうして、あらゆる魂の記憶を消し終えた自己意識は、最後に、「この意識こそが私なのだ」という認識それ自体も手放す。
それによって宇宙意識の状態に戻ることができる。
これが魂の旅の全行程となる。